津波避難タワー・避難ビル照明システムの設計の手引き

8. 推奨太陽光パネルと制御盤BOXの仕様

津波避難タワーは、沿岸部の地域において建設されるため、公的機関の塩害テスト (Salt Mist Corrosion Test)認定証品を選択することをお勧めします。
さらにメーカーにより沿岸部に設置しても製品・性能保証(万が一の不具合の際に、保証対象であること)されている製品をお勧めします。
また、制御盤BOX等は、IP55以上の採用を合わせて推奨いたします。

太陽光パネル

津波避難タワー屋上に設置された太陽光パネル。
すぐ先に海が見える。
重塩害対策・保証されたパネルは必須条件。

制御盤BOX

津波避難タワーに設置されたIP55対応の制御盤BOX
すぐ先に海が見える、吹きさらしの場所に設置される。
IP55は必須条件。

TUV

津波避難タワーは、沿岸部の地域において建設されるため、太陽光パネル・制御盤電気設備・鉄・コンクリート構造の施設などが 塩分によって受ける害を考慮する必要があります。 海上の波頭が砕けることで塩水滴が空中に飛び出し、強風で施設や設備に 付着することが原因とされています。
塩害地域は、直接波しぶきがあたる場所を「岩礁隣接地域」、海岸から200m~500m以内を「重塩害地域」、海岸から2km以内を 「塩害地域」と区別がされています。詳しい定義は地域によって多少異なります。
メーカーによっては重塩害地域での設置を不可能としているところもあり、仮に設置した場合、保証の対象にならないケースもあります。


塩害が太陽光発電システムに及ぼす被害として、太陽光パネルの故障や架台の腐食、その他屋外に設置された機器の故障などが発生します。

津波避難タワー
塩害地域の定義

天井設置のLED照明

避難タワー天井に設置されたIP66対応LED照明

スロープ設置のLED照明

スロープ上に設置されたIP66LED照明

屋上ポール設置のLED

屋上に設置されたポール設置のIP66対応LED


津波避難タワーの設置場所は沿岸部

タワー設置地図

9. 推奨蓄電池の選択

性能・安全性・メンテナンス性・年間コストパフォーマンスを考えると、初期費用は 多少高くなるが、オリビン型リン酸鉄系リチウム電池の採用がお勧めです

鉛蓄電池

特徴

  • 車などにも多く利用
  • 爆発の危険などがほとんどない
  • 寿命:約3年
  • 実使用容量は仕様容量の50%程度
  • 過放電により、寿命に関係なく使えなくなる

硫酸系

  • 一般的な鉛蓄電池
  • メンテナンス必要

シリコン系

  • 硫酸系と比較し同サイズでも容量大きい
  • メンテナンスフリー
  • 熱や振動に対する耐性大
比較表 シリコン 硫酸系
酸含有率 0.5%以下 33~34%
自己放電 0.5%/月以下 5%/月
     
温度範囲 -40~60℃ -18~50℃
充電10.5V→12V 20分(急速充電可能) 6時間以上
最大電圧 13.9V 12.8V
自己放電 約60か月 4~6か月
再充電可能最低残電圧 3V以下 6V以上

リチウム蓄電池

小型軽量な2次電池。

  • 寿命が長い:約10年
  • 自己放電はほとんどない
  • 仕様容量≒実使用量

炭素系/コバルト酸

  • 爆発、発火の危険性
  • 車用に対処進んでいる

オリビン型リン酸鉄系

  • 炭素系に比べ高価
  • 安全性大、刺突しても大丈夫
  • 500℃以下では燃えない
比較表 コバルト リン酸鉄
充放電効率 80-90% 80%以下
体積エネルギー密度 250-360Wh/L 200Wh/L程度
重量エネルギー密度 100-250Wh/Kg 100Wh/Kg程度
     
最小放電電圧 2.8V
作動電圧 3.6/3.7V 3.0~3.3V
最大充電電圧 3.6V
放電サイクル寿命 ~1200 2000~7000
自己放電率 15%(40℃) ほぼゼロ

10. 推奨コントローラ仕様

蓄電効率が高く(高度な制御による充電)、かつできるだけ自己消費電力が低い製品(ただ自己消費電力が低い場合は、蓄電効率が低い場合がある) また、入出力の対応が柔軟な製品を選択することをお勧めします。

コントローラ単体ではなく、システムとして品質が保証されているものでなくてはなりません。
高温槽を用いた高温時の動作実験結果や、権威のある現場での1年以上の動作実績があるシステムを選択されることをお勧めします。
ベンチャーのシステムには、品質管理体制が十分に整っていないため、様々な環境下において十分な動作検証が行われていないものがあります。それらのシステムにおいては、どのような環境下で動作するのかが保証できないと判断すべきだと思われます。是非、動作試験結果を確認することをお勧めします。
また、動作実績がない場合も注意が必要です。十分な動作実績がないものを選択した場合、一時的には動作したとしても、長期の使用においては動作しなくなることを過去の事例で知ることができます。


コントローラーは、太陽光パネルで発電された電力を蓄電池に充電したり、充電された電力を、LED等に、無駄なく出力することをおこなう、津波避難タワー照明システムの心臓部であり脳の部分となります。
選択の規準としては、太陽光パネルで発電された電力を高水準の効率で充電をすることが可能製品であること。
そして充電された電力は、高度な制御によって、柔軟性にとんだ出力運用が可能な物であることが重要です。
できれば、接続された太陽光や蓄電地、コントローラー自身に、障害が発生した場合に迅速に修復を実現するために故障のモニタリングを行い故障箇所を表示してくれるものを選択することを推奨いたします。
また、自己消費電力が非常に少ないもの(1W以下)を見受けますが、低度なICを用いた単純な制御のため、充電効率の低い製品が多いようです。発電された電力を無駄なく蓄電しに充電し、かつ自己消費電力ができるだけ低いものを選んでください。
また、ACに変換後LEDに出力されるコントローラも効率が悪く結果的に、対費用効果が低下するため、DCをダイレクトで出力できるようなものを選択し、DCでLED照明を点灯すると出力ロスも最小限となります。

構成図
グラフ

11. 推奨設計の例

1. 津波避難タワー・避難ビルは、海岸から近い場所に設置されるため、塩害対策のされたパネルおよび防水対策(IP55以上)の高い機器を使用する

2. 太陽光発電によって作られた電力を、効率的に蓄電できるコントローラ(蓄電効率・自己消費電力等々)を使用する

3. 発電と蓄電の※バランスを考慮して設計をおこなう。(一般的には、1日の発電で蓄電池を満充電とし、電池容量で無日照期間に対応できることがベスト。大型パネルを利用すると、無日照時も発電と蓄電を期待することが可能となる)

※ 万が一の故障時を考えて、照明の配置の考慮も必要。また、故障診断、モジュール交換できるようにする

【避難スペース100人用の構成例】

ソーラーパネル 205W 6枚 / パネル架台 205W 6枚用
トイレ・備蓄倉庫など日中点灯用タイマースイッチ1式 / LED照明8W型 38台
コントローラーシステム 6台 / リン酸鉄リチウムバッテリ 45Ah 6台 3456Wh
コントローラーBOX 6セット /  ケーブル1式

避難スペース照度分布例
避難スペース照度分布例
避難スペース照度分布例

構成モジュール概略仕様
太陽光モジュール 出力 205W ※60W・90W・180W・250W選択可能
塩害対策製品
サイズ(mm) 1650x992x45
保証期間 5年間
パネル架台 対応サイズ 1650x992x45 太陽光モジュール枚数に
合わせた製品
風圧対応 40m
保証期間 5年間
照明 最大出力(LED) 8W 標準点灯で12年以上
交換不要。
最高級品質のニチアのチップを使用
IP66対応
期待寿命 60,000H
使用温度 -30℃~50℃
点灯期間 日没後10-14時間
無日照日数 5日間(365日常時点灯制御)
保証期間 2年間
コントローラー 制御方式 PWM(発電量に対した点灯制御)
日没検知機能付
照度自動調整機能付
点灯時間、バッテリー残量に合わせた
照度コントロールで365日点灯。
太陽電池、バッテリーの機能を
最大限有効に引き出すことが可能
IP65対応
使用温度 -20℃~55℃
避雷保護
保証期間 5年間
蓄電池 種類 リン酸鉄リチウムバッテリー
50Ah
突刺しても爆発しないリン酸鉄リチウム
を採用。
500℃以下では不燃。
自然環境保護に配慮された
高性能バッテリー採用
保護回路付き
寿命 10年
使用温度 -20℃~55℃
保護機能
保証期間 2年間

避難場所や照明ポリシーに応じて、太陽光パネル、蓄電池のサイズを変更可能です。
最適な、照明システムを構築することが可能です。