はじめに

2011年(平成23年)3月11日(金)14時46分18.1秒日本の太平洋三陸沖を震源として東日本大震災が発生しました。
この地震で発生した津波によって、沿岸沿いに住む何万もの多くの尊い住民の命が奪われました。
そこで南海トラフ大地震により甚大な被害が予想される高知県では、他県に先行する形で、各地で津波避難タワーの建設を急いでいます。
このたび、 いろいろと苦労はありましたが、何も基準のない中で、様々な企業様の知恵と経験をお借りし試行錯誤しながら、津波避難タワーに設置する照明システムを構築することができました。
この経験を是非、今後の津波避難タワー建設を検討している自治体の関係者の皆様にお役立てていただきたいと思い、株式会社かめお設計・株式会社総合企画設計・株式会社若竹まちづくり研究所(五十音順)の3社共同で、実際に実施した設計内容を、「電気設計基準」として、ここにご紹介させて頂きました。
基準の策定に携わった関係者の皆様に感謝の意をお伝えすると共に、これから設計に携わる方々に少しでも役立つことが出来ることを心から願っております。

津波避難タワー

平成26年11月吉日

 

株式会社かめお設計

株式会社総合企画設計

株式会社若竹まちづくり研究所

(五十音順)


津波避難タワー・避難ビル照明システムの設計の手引き

目次

1. 目的

本設計基準は、津波避難タワー・避難ビル向けの太陽光エネルギーを用いた照明、通信、その他の電源確保のための太陽光エネルギー利用電気システムを企画・設計・採用・設置をする際の、考慮すべき点を わかりやすく解説することを目的とします。
本設計基準は、東北大震災で利用されたシステムから検証改善を行い、現在、高知県某市の各所に 存在する津波避難タワーでこの考えのもとに設置運用されています。 いざというときに役立つ、自立型太陽光エネルギー利用電源システムを構築していただき、住民の 安全を確保していただくことを願いノウハウの提供をさせていただきます。

【五十音順】

津波避難タワー

2. はじめに(発電と蓄電、電力消費の関係)

災害は、いつなんどきやってくるかわかりません。大雨が7日間続いたある日(高知県の過去60年の気象データーには、7日間連続雨天の記録がある)の夜間に、大きな地震が発生しないとも限りません。
そのような時でも、避難住民が安全に施設を利用できるように、電気設計をする必要があります。
災害時は、何が起こるかわかりません。真っ暗な闇の中では、人は行動できません。
災害による停電時でも照明を得るためには、太陽光利用の照明システムを導入することが有効です。 そこで、太陽光をエネルギーとして使うには、利用の前提条件(仕様)を十分に検討し、その条件をクリアするためにどのような部材を調達するかを考える必要があります。
貴方の町の津波避難タワーや避難ビルが、最悪の状況でも、人命を救うための明かりをともすことが可能となるように、最低限の照明と通信用の電源は確保したいものです。

災害は、必ずやってきます。そしてそれが、運が悪い日かもしれません。
最悪の状況を考えて電気設計をしていただくことが 重要だと、私たちは考えています。
私たちのノウハウが、皆様のお役に立てることを 期待して以下の情報をご提供いたします。

宮城県石巻漁協表浜支所

3. 避難所のタイプと電気設計の仕様について

(1)「災害発生時の一晩のみ利用」か「一定期間の避難所」で、仕組みと規模が変わります。

一晩の場合の例(津波避難タワー)
一晩の場合の例

照明システム

通信システム

発電システム/充電システムにより
太陽光発電した電力をバッテリーに蓄電

(雨天7日間でも最低照度が確実に守れる電力量を確保する)

災害時のみ点灯の場合の構成

(※震度5以上を感知し、津波避難タワーの入口錠を開錠することも可能です)

【防災機器電源供給の仕様例】

防災無線が24時間程度利用可能を目安とする

【照明システムの仕様例】

  1. 最低照度を※0.5Lx-3lxを目安とする
  2. 照明は、一定照度で点灯し続ける
  3. 点検用として、備蓄エリア・トイレ等にスイッチを配備する

※0.5Lxとは、街路灯の一番暗いエリアの照度と同等です


津波避難タワー
  仕様項目 仕様例
1 災害時に避難民が、避難所を利用する期間はどの程度か 24時間
2 避難場所の各エリアの照度はどの程度にするか
(1日程度の避難場所の場合は防犯灯の一番暗い部分が0.5lxを参考とすると良い)
平均2Lx
暗いところで0.5lx
3 何日間の無日照に耐えられればよいか
(災害はいつ起こるかわからないので最悪の状況を基準とする。過去60年間の気象データーでは7日間無日照)
5から7日間
4 照明の点灯時間とタイミング
(地震時のみの点灯か常時点灯かを検討)
地震時に点灯
平時から自動点灯/自動消灯
5 近隣住民への光害への考慮(地震時のみの場合震度5以上での点灯設計) 同上
6 照明の他にどのような機器に対し、どのくらいの電力を供給する必要があるか(災害無線等々) 無線機電源
携帯電話などの充電
7 使用するポールや電源BOX等々の耐風速(基本、風速60M対応) 風速60m対応
8 パネルの塩害対応(公的機関での認定となっていることが重要/保証対象となっているか。社内で同等品としての検査をしていても、保証の対象外となっている場合が多い) 公的機関が認定している塩害噴霧試験結果が提供されていること
9 電源BOX、LED、パネル等々の防水性 IP55以上
10 配線のしやすさ
機器にトラブルが発生した場合の影響度と復旧対応(トラブルが発生した場合の、診断機能やモジュールの交換のしやすさ)

(2)「災害発生時の一晩のみ利用」か「しばらくの間そこで暮らすのか」で仕組みとサイズが変わります。

一定期間滞在の場合の例(避難ビル)
一晩の場合の例

照明システム

電源供給システム

発電システム
充電システム

(雨天7日間でも最低照度が確実に守れる電力量を確保する)

震撼センサー

電源供給システム

防災無線が24時間程度利用可能を目安とする

【照明システムの仕様例】

  1. 最低照度を※0.5Lx-3lxを目安とする
  2. 照明は、時間帯を考慮し節電しながら、24時間x365日システム可動をさせる
  3. 付け忘れ等を考えると、メイン電源にはS/Wを設置しないことが好ましい。
  4. トイレの照明等、S/Wで起動する出力は、別電源とする
  5. AC出力も照明とは、別電源とする

※0.5Lxとは、街路灯の一番暗いエリアの照度と同等です


津波避難タワー夜景

夜間照明した津波避難タワー

  仕様項目 仕様例
1 災害時に避難民が、避難所を利用する期間はどの程度か 24時間
24時間以上の想定も必要
2 避難場所の各エリアの照度はどの程度にするか
(1日程度の避難場所の場合は防犯灯の一番暗い部分が0.5lxを参考とすると良い)
平均2Lx
暗いところで0.5lx
3 何日間の無日照に耐えられればよいか
(災害はいつ起こるかわからないので最悪の状況を基準とする。過去60年間の気象データーでは7日間無日照)
5から7日間
4 照明の点灯時間とタイミング
(地震時のみの点灯か常時点灯かを検討)
地震時に点灯
平時から自動点灯/自動消灯
5 近隣住民への光害への考慮(地震時のみの場合震度5以上での点灯設計) 同上
6 照明の他にどのような機器に対し、どのくらいの電力を供給する必要があるか(災害無線等々) 無線機電源
携帯電話などの充電
7 使用するポールや電源BOX等々の耐風速(基本、風速60M対応) 風速60m対応
8 パネルの塩害対応(公的機関での認定となっていることが重要/保証対象となっているか。社内で同等品としての検査をしていても、保証の対象外となっている場合が多い) 公的機関が認定している塩害噴霧試験結果が提供されていること
9 電源BOX、LED、パネル等々の防水性 IP55以上
10 配線のしやすさ
機器にトラブルが発生した場合の影響度と復旧対応(トラブルが発生した場合の、診断機能やモジュールの交換のしやすさ)